庇は後付けできる!庇の効果や費用目安・注意点も解説

庇は、窓や玄関などの開口部に後付けすることが可能です。設置することで、雨の吹き込みを防いだり、直射日光を遮ったりといった効果が期待できます。
「庇の後付けを検討しているけれど、本当に必要?」とお悩みの方は、効果や注意点を知ったうえで判断してみましょう。
本記事では、庇を後付けすることで得られるメリットや庇の種類、費用目安、設置する際の注意点について、詳しく解説します。
庇を後付けすることによって得られる効果
庇を後付けすることで、住まいの快適性やメンテナンス性が向上します。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのか、3つの観点から見ていきましょう。
窓から入り込む直射日光を遮る

庇には、窓から差し込む直射日光を遮る効果があります。特に夏場は太陽の高度が高く、南側の窓から強い日差しが入りやすくなりますが、庇を設けることで直射日光を和らげ、室温上昇を抑えることが可能です。
その結果、冷房効率が上がり、エアコンの消費電力の削減にもつながるでしょう。また、日差しによる床材や家具の色あせ・劣化を防ぐ効果もあります。
一方、冬場は太陽の高度が低くなるため、庇の下から自然光が差し込み、室内の明るさを保ちながら暖かくすることが可能です。

庇は、家の外側で遮熱するため、暑さ対策の選択肢としておすすめです。
雨や雪の吹き込み・濡れを防ぐ

庇を後付けすることで、窓や玄関からの雨や雪の吹き込みを防ぐことができます。庇がない場合、窓を開けた瞬間に雨が室内に入り込み、床が濡れることもありますが、庇があれば雨が入りにくくなるため、換気などもしやすくなるでしょう。
また、雨の日の玄関前では、傘をたたんだり鍵を取り出したりする際に濡れてしまうこともありますが、庇があればそのような心配も軽減できます。玄関の出入りがスムーズになるだけでなく、濡れることでのストレスや、室内の掃除の手間も減らせることも利点です。
窓やドアを汚れから守る

庇には、窓や玄関ドアを雨や汚れから守る役割があります。庇がないと、雨が窓や玄関に直接当たって水滴や泥が付着しやすくなってしまい、その結果、窓枠のすき間には砂埃がたまり、ドアには雨だれの跡が残ってしまうことも少なくありません。特に雨風の強い日には、汚れが広がってしまい、掃除の手間が増えてしまいます。
さらに、窓枠から流れ落ちた雨水が外壁に沿って伝い、黒いライン状の汚れとなることもありますが、庇を設置することで、これらの汚れの多くを防ぐことが可能です。
水の流れをうまく逃がせるような勾配設計の庇であれば、雨水の流れをコントロールしやすく、窓まわりを清潔に保ちやすくなるでしょう。
後付けする庇の種類や特徴
庇には、構造や素材の違いによってさまざまな種類があります。それぞれに特性があり、後付けする際には住まいのデザインや使用目的に応じた検討が必要です。
ここでは、後付けする庇の種類について、構造と素材の観点から解説します。
庇の構造

庇の構造にはいくつかの種類があり、取り付け方やデザインに違いがあります。代表的なものとして、「陸庇」と「腕木庇」の2種類の取り付け方や特徴を詳しく見ていきましょう。
陸庇(ろくひさし)
陸庇(ろくひさし)は、建物の外壁から水平に突き出した形状が特徴で、近年の住宅に多く採用されている庇です。一見水平に見えますが、雨水の排水を考慮して上部にわずかな傾斜があります。
シンプルで現代的なデザインは、モダンな建物はもちろん、さまざまな外観と調和しやすいのが魅力といえます。
腕木庇(うできひさし)
v腕木庇(うできひさし)は、壁に取り付けた「腕木」と呼ばれる支持材で庇を支える、伝統的な構造の庇です。日本の和風建築に多く見られ、木材の持つぬくもりや美しさが建物に温かみを与えてくれます。
近年では採用例は減少傾向にあるものの、和の外観を重視した住まいには今なお根強い人気があります。
庇の素材
庇に使用される素材によって、外観や耐久性、光の取り込み具合(採光性)などが大きく異なります。設置場所の条件や建物のデザイン、将来的なメンテナンス性を考慮しながら、最適な素材を選ぶことが重要です。
アルミニウム
アルミニウムは、軽量かつ高い耐久性を兼ね備えており、後付けの庇として非常に扱いやすいのが特徴です。錆びにくく雨風にも強いため、長期間美しさを保てます。
また、加工のしやすさから、デザインやサイズのバリエーションも豊富です。設置する場所や製品を選ぶことで、採光性や遮光性の調整もできます。これらのことから、アルミニウムはデザイン性と機能性を両立させたい方におすすめの素材と言えます。
ガルバリウム
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金でできた素材で、耐久性・耐熱性に優れています。軽量ながら高い強度を誇り、庇の素材としても長く安心して使用できるでしょう。
モダンな建物との相性が良く、スタイリッシュな外観を演出できるのも魅力の一つです。ただし、ガルバリウムは透明ではないことから採光性はないため、光を取り入れたい場所には別素材の検討が必要です。
ガラス
ガラスは、明るさと洗練されたデザイン性を兼ね備えた素材です。透明なガラスを庇の素材として用いることで、自然光をたっぷり取り込みつつ、雨よけとしての機能も果たします。
また、アルミフレームなどと組み合わせることで耐久性を強化でき、見た目の美しさと実用性を両立できるでしょう。モダンで開放的な雰囲気を求める方に適した素材と言えます。
ポリカーボネート
ポリカーボネートは、軽量でありながら衝撃に強い特徴をもつプラスチック素材です。透明性も高いため、採光性を重視したい方に適しています。
カーポートの屋根材として多用されるほど耐候性に優れ、紫外線や風雨にも強いため安心です。色には乳白色やスモークなどのカラーバリエーションがあり、外観に合わせてコーディネートできます。
ただし、金属製と比べると強度面ではやや劣るため、設置場所の選定に注意が必要です。
木
木材を使用した庇は、自然素材ならではの温かみや風合いが魅力です。特に和風住宅やナチュラルテイストの住まいと相性が良く、取り入れることで落ち着いた雰囲気を演出できるでしょう。
近年では、庇の裏側や腕木など目に触れる部分に木材を使用し、上面にはガルバリウム鋼板やアルミを組み合わせる構造が主流となっています。これにより、見た目の美しさを保ちつつ、雨風への耐久性も確保できます。
ただし、木部は経年劣化しやすいため、定期的な塗装や防腐処理などのメンテナンスが欠かせません。木材は自然素材の温かみを活かしつつ、デザイン性も重視したい方におすすめの素材と言えるでしょう。

木材は、庇全体に用いられるのではなく、部分的に使用することがほとんどです。
庇の後付けにかかる費用目安
庇を後付けする際の費用は、施工内容や条件によって幅があります。一般的に、リフォーム会社に依頼した場合の費用目安は、1ヶ所あたり10万〜30万円程度です。
費用は、庇のサイズや素材、既存庇の撤去の有無、足場の設置の必要性によっても大きく変動します。より正確な金額を知りたい場合は、現地調査のうえで見積もりを依頼することがおすすめです。
庇を後付けする際の注意点
庇の後付けはメリットが多い一方で、設置場所や法的な制限などに注意が必要です。安心して工事を進めるためにも、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
庇は増築として扱われるケースがある
庇を後付けする場合、その構造によっては「増築」として扱われるケースがある点には注意が必要です。特に、庇に屋根だけでなく柱(支持材)も含まれる場合、建築面積に加算されることがあり、建ぺい率の制限を超える可能性があります。
建ぺい率とは、敷地に対する建築面積の割合で、自治体ごとに上限が定められています。違反すると、違法建築と見なされる恐れがあるため、事前に自治体の建築指導課や建築士に相談のうえで設計・施工計画を立てることが大切です。
建物との調和を意識して庇を選ぶ
庇の後付けでは、建物の外観やデザインとの調和も大切なポイントです。建物のデザインに合わない素材や形状を選んでしまうと、外観に違和感が生じてしまう場合があります。
例えば、伝統的な和風住宅にスタイリッシュなガラスや金属製の庇を取り付けると、外観の雰囲気を損なうこともあるでしょう。
最近では、アルミやポリカーボネートなど、既存の住宅と調和しやすいデザインの庇も多く販売されています。庇を選ぶ際は、見た目と実用性の両立を意識すると、仕上がりに満足できるリフォームにつながります。
後付けしたい目的に応じて設置する
庇を後付けする際は、取り付ける目的を明確にしたうえで、設置場所や形状、サイズを決めることが大切です。目的と合わない庇を選んでしまうと、期待する効果が得られないこともあるでしょう。
具体的には、玄関に雨よけを目的として設置する場合、出入りの際に濡れないよう十分な奥行きが必要です。窓の日差し対策の場合は、太陽の角度に合わせて庇の長さや高さを調整する必要があります。
庇の効果を最大限に活かすためには、目的に応じて計画を立てることが欠かせません。
玄関の庇を検討中の方は、あわせてこちらもご覧ください。
玄関に庇を後付けするメリット・デメリットは?リフォーム時のポイントも解説>>

庇の設置に限らず、リフォームを検討する際には「なぜリフォームをしたいのか」という点を考えておくのが大切です。リフォーム会社から、最適な提案を受けやすくなります。
軒との違いを理解しておく
「庇」と似た言葉に「軒」がありますが、それぞれ役割や構造が異なります。軒は、屋根の一部が外壁よりも突き出た部分で、建物全体を雨や日差しから守る構造の一部です。
一方、庇は窓や玄関などの特定箇所に部分的に設ける小さな屋根のようなものです。後付けがしやすく、限られた場所の雨よけや日よけに用いられます。
両者を混同してしまうと、希望する効果が得られなかったり、設計ミスにつながったりする恐れがあるため、それぞれの違いを事前にしっかり理解しておきましょう。
庇の後付け以外の選択肢も知っておく
庇の後付けは、窓や玄関の雨除け・日差し対策として有効な手段ですが、目的によっては庇以外の方法の方が適している場合もあります。
具体的には、夏の暑さをやわらげたい場合には、直射日光を遮る「遮熱対策」に加え、窓そのものの断熱性能を見直すと、より効果的です。
さらに快適性を高めたい場合は、「Low-E複層ガラス」や「樹脂サッシ」を使った窓リフォームも検討すると良いでしょう。一定の条件を満たすことで補助金を活用できるケースもあり、費用を抑えてお得にリフォームできます。
住まいの状況や対策の目的に応じて、複数の方法を比較したうえで、最適な対策を選ぶことが重要です。
DIYではなくリフォーム会社に依頼する
庇の後付けは、商品によってはDIYでも対応できるケースもありますが、安全性や耐久性を考慮すると、専門のリフォーム会社に依頼する方が安心です。これは、庇の取り付けには、壁面の構造に応じた下地の補強や、正確な施工技術が求められるためです。
施工が不十分な場合、庇の落下や雨漏りの原因になることもあります。また、建築基準法に関連する建ぺい率や景観条例など、法的な制限にも注意が必要です。
専門知識を持つリフォーム会社へ依頼することで、現地調査から設計・施工まで一貫して対応してもらえるため、美しい外観と機能性を兼ね備えた仕上がりが期待できます。
まとめ
庇は、窓や玄関といった開口部に後付けすることが可能です。庇を後付けすることで、雨や雪の侵入防止、窓・玄関ドアの保護、日差し対策といったさまざまな効果が期待できます。
ただし、設置場所や目的、建物との調和を考えずに設置してしまうと、満足のいく結果が得られないこともあります。後付け庇の設置を成功させるには、目的を明確にしたうえで、適切な構造・素材・位置を選ぶことがポイントです。
鈴与ホームパルでは、お客様が「なぜ庇を後付したいのか」という想いに寄り添い、最適なプランをご提案いたします。住まいの快適性と機能性を高めるリフォームの第一歩として、ぜひお気軽にご相談ください。