中古マンションのリノベーションの注意点とは?リノベーション済み物件との比較
中古マンションのリノベーションは、新築よりも予算を抑えつつ好立地も叶えやすいというメリットがある一方で、注意すべき点も多くあります。
特に、「リノベーション済み物件を購入する方法」と「中古マンションを購入して自分でリノベーションする方法」のどちらを選ぶかによって、確認すべきポイントや手間・コスト・入居までの期間が大きく変わることをご存知でしょうか。
本記事では、リノベーション済みマンションを選ぶ場合と、中古マンションを購入してリノベーションをする場合の注意点、それぞれの購入方法がおすすめの方について、わかりやすく解説します。
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リノベーション済みのマンションを購入する際の注意点
リノベーション済みマンションは、購入後すぐに快適な生活を始められる点が魅力ですが、内装の美しさだけで判断すると後悔につながることもあるため注意が必要です。ここでは、リノベーション済みのマンションの購入時に注意すべきポイントを、以下の項目別に詳しく解説します。
・リノベーション内容に関する注意点
・費用・価格に関する注意点
・物件の状態に関する注意点
リノベーション内容に関する注意点
マンションのリノベーションには、全面改修から部分的な工事までさまざまな種類があり、どこまで手が加えられているかは物件によって大きく異なります。購入後のギャップをなくすためには、施工範囲や仕上がりの質を正しく理解することが欠かせません。
まずは、物件によって工事範囲が異なることや、自身のこだわりを反映しにくい点について見ていきましょう。
物件によって工事範囲が異なる
リノベーション済みのマンションは、物件によって工事が施されている範囲が大きく異なります。
壁紙の張り替えや設備の交換といった表層的なリフォームにとどまるケースもあれば、間取り変更や給排水管の交換まで行っている大規模なリノベーション物件もあります。物件情報に「フルリノベーション」と記載されていても、水回りや配管などは古いままというケースも存在するため注意が必要です。
特に築年数の古いマンションの場合、目に見えない給排水管や電気配線といったインフラ部分が、どの程度更新されているかを必ず確認しましょう。外観はきれいに見えても、インフラが古いままでは、入居後に予期せぬ修繕が必要になるリスクがあります。
こだわりを反映できない
リノベーション済みのマンションは、すでに内装や設備が完成した状態での販売となるため、購入者の希望に合わせて間取りやデザインを選ぶことはできません。キッチンや浴室、壁紙の色などにこだわりがある場合、理想と異なる点が出てくる可能性があります。
また、販売価格を抑えるために、水回り設備などに比較的安価なグレードのものが採用されていることも多いです。自分のライフスタイルや好みを隅々まで反映させたい方にとっては、妥協が必要になる可能性がある点も理解しておきましょう。
完成後の状態を見て気に入れば問題ありませんが、「少しだけ変えたい」という軽微な希望であっても、対応が難しい場合が多い点は注意が必要です。

見た目がきれいでも、仕上げ方によっては暮らしにくくなることがあります。
例えば、コンクリートにペンキを塗った仕上げは結露しやすく、音も響きやすいことがあります。家のことに詳しい人と一緒に内見すると安心です。
費用・価格に関する注意点
リノベーション済み物件は、新築より価格を抑えやすい一方で、長期的な維持費や価格の内訳を見落とすと予算オーバーにつながる可能性があります。将来の支出まで含めて検討することが大切です。
続いて、リノベーション済みのマンションを購入する際の注意点として、築年数が古い場合の修繕費の増加リスクや、リノベーション費用が物件価格に上乗せされている点について詳しく解説します。
築年数が古いと将来の修繕費がかさむ可能性がある
内装が新しく整えられていても、物件自体の築年数が古い場合、将来的に建物の共用部分や専有部分のインフラに大規模な修繕が必要となるリスクが高まります。大規模修繕の際に高額な修繕積立金の徴収や、毎月の積立金の値上げが発生するケースがあるためです。
見た目のきれいさだけで判断せず、マンション購入前には、修繕積立金の積立状況や長期修繕計画、過去の修繕履歴などを管理組合に確認することが重要です。これらを把握することで、将来的な費用負担をより正確に見通すことができます。

修繕積立金の状況や修繕計画などは、先に確認しておきたい大事な点になるため意識しておきましょう。
リノベーション費用が物件価格に上乗せされている
リノベーション済みマンションの販売価格には、物件本体の購入費に加えて、リノベーションにかかった費用がすでに上乗せされている点に注意が必要です。一般的に、リノベーションの工事内容や仕上がりが良いほど物件価格は高くなる傾向があり、売主が設定した費用が市場価格に比べて割高な場合もあります。
購入時は「見た目の良さ」だけで決めず、リノベーション費用の内訳書(可能であれば見積書)を請求し、どの工事にいくらかかっているか把握することが重要です。
また、同エリア・築年数の類似物件と価格を比較し、価格が妥当か慎重に見極める必要があります。必要に応じて、工事内容を専門家に相談して費用の妥当性をチェックしてもらうと安心です。
物件の状態に関する注意点
マンションの室内は美しく仕上がっていても、建物全体や共用部分には老朽化が残っているケースもあるため、購入前のチェックは必須です。長く安心して住むためには、管理状況や修繕計画の確認も重要となります。
ここでは、リノベーション済みマンション購入時の注意点として、共用部・付帯設備の老朽化の可能性や、管理体制・修繕計画が不十分なケースについて解説します。
共用部や付帯設備が老朽化している場合がある
リノベーション済みマンションは、専有部分の室内は新しくても、外壁やエントランス、廊下などの共用部は築年数相応のままというケースが多いです。駐輪場や駐車場、ゴミ置き場といった付帯設備も古く、照明が暗い・動線が狭いなど、日常の使い勝手に影響することがあります。
また、古いマンションでは、インターネット回線の速度が遅い、オートロックや宅配ボックスなどの設備が整っていないなど、現代の暮らしに合わない仕様が残っていることも少なくありません。
これらの設備面は居住快適性だけでなく、将来的な資産価値にも影響するため、内装だけでなく共用部の設備仕様や老朽化状況を現地でしっかり確認することが大切です。
管理体制や修繕計画が不十分な場合がある
マンションの住み心地や資産価値は、管理組合の運営体制や修繕計画の質によって大きく左右されます。
修繕積立金が十分に積み立てられていない、長期修繕計画が策定されていない、あるいは管理組合が機能していないといったケースでは、建物の老朽化に伴い、将来的に追加負担が発生するリスクもゼロではありません。また、居住者間のトラブルやマナー違反が多い場合、住み心地や資産価値にも影響します。
購入時には、共用部の清掃状態や掲示板の内容を確認するほか、重要事項調査報告書を通じて、修繕積立金の残高・滞納率・長期修繕計画の有無などを細かくチェックし、健全な管理体制かどうかを見極めることが大切です。
中古マンションを購入してリノベーションする際の注意点
中古マンションを購入してリノベーションする方法は、自分らしい住まいをつくれることから人気があります。しかし、自由度が高い一方で、構造や管理規約による制約、予算管理の難しさ、スケジュール調整の複雑さなど、事前に把握しておくべきポイントも多いです。
ここでは、スムーズに理想の住まいづくりを進めるために、購入前に知っておきたい以下の注意点をわかりやすく解説します。
・リノベーション範囲に関する注意点
・費用・予算に関する注意点
・スケジュール・手続きに関する注意点
リノベーション範囲に関する注意点
中古マンションの構造や管理規約の違いによって、実際に手を加えられる部分に制限が生じることがあります。購入後に「希望の間取り変更ができない」といった後悔をしないためにも、事前の確認が欠かせません。
まずは、構造によってリノベーションできる範囲が変わる点や、管理規約による制限が生じるケースについて解説します。
構造によってリノベーションできる範囲が変わる
中古マンションを購入してリノベーションをする場合、建物の構造形式によって間取りを変更できる範囲が大きく制限されます。
日本のマンションで多く採用されている「ラーメン構造」の場合、柱と梁で建物を支えているため、壁の多くを撤去でき、比較的自由な間取り変更が可能です。一方で、「壁式構造」の建物の場合、耐力壁と呼ばれる壁で建物を支えていることから、この耐力壁は原則として撤去したり移動したりできません。
購入する前に、検討している物件がどの構造形式であるかを確認し、希望する間取りの変更が可能かどうかを専門家と相談する必要があります。特に、大幅な間取り変更や広いワンルーム空間を希望する場合は、構造の制約に注意が必要です。
管理規約でリノベーション制限がかかる場合がある
マンションは区分所有者全員で共有する建物であるため、専有部分であっても自由にリノベーションができるわけではありません。どこまで工事が許可されるかは、マンションごとに定められた管理規約によって大きく左右されます。
管理規約には、専有部分のリフォーム・リノベーションに関する細かなルールが定められています。例えば、「フローリングの使用禁止(遮音等級の指定)」「水回りの位置変更の制限」「窓や玄関ドアなどの共用部分に手を加えることの禁止」などです。
そのため、物件の売買契約を結ぶ前に必ず管理規約を取り寄せ、希望する工事内容が問題なく行えるかを確認することが重要です。

共用部分である点に加え、建築基準法の兼ね合いで、窓や玄関は基本的にリフォームできないことが多いです。
費用・予算に関する注意点
中古マンションのリノベーションは自由度が高い一方で、物件価格と工事費のバランスを誤ると予算オーバーにつながりやすい側面があります。また、工事を進めるなかで追加費用が発生することも珍しくありません。
ここでは、購入費とリノベーション費用の合計が膨らみやすい点や、追加工事のリスクについて詳しく説明します。
物件購入費とリノベーション費用で予算オーバーになりやすい
中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、「物件購入費」と「リノベーション工事費」の2つの大きな出費が発生します。それぞれの費用を見積もっているうちに、総額で当初の予算をオーバーしてしまうケースも多いです。
特にリノベーション費用は、設計の途中でこだわりが増したり、設備のグレードを上げたりすることで、当初の見積もりよりも大幅に膨らむことがよくあります。
予算オーバーになるのを避けるためには、事前に総額の予算上限を設定し、物件探しとリノベーションの設計を並行して進めることが大切です。
追加工事が発生することがある
リノベーション工事の途中で、予期せぬ追加工事が必要になり、費用の負担が大きくなることがあります。特に築年数が古い物件ではこのリスクが高く、注意すべきポイントです。
例えば、壁や床を解体した際に、図面に記載されていなかった古い配管の劣化が発覚したり、躯体の状態が悪くなっていることが判明したりするケースがあります。このような場合、安全性の確保や建物の維持のために、当初の計画にはなかった修繕や交換工事が必要となり、追加費用が発生します。
追加工事が発生するリスクを考慮し、リノベーション費用の見積もりには、予備費を確保しておくなど、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。
スケジュール・手続きに関する注意点
リノベーションは、打ち合わせ・設計・工事という複数のステップを踏むため、入居までに時間がかかりやすいのが特徴です。また、設計や仕様の決定は想像以上に労力が必要となる場合があります。
続いて、全体スケジュールが長期化しやすい点や、仕様決めに伴う負担など、入居までに把握しておきたい注意点を解説します。
入居までの全体スケジュールが長期化しやすい
中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、物件の購入手続きと工事計画を並行して進める必要があるため、入居までの期間が長くなる傾向があります。
一般的には、物件探しから契約、住宅ローンの手続きまでに約2~3ヶ月、設計・プランニングに1~2ヶ月、工事に1~2ヶ月程度かかりがで、すべてを合わせると半年ほど要するケースも少なくありません。
リノベーション完了までの間は、現在の住居の家賃や仮住まいの費用が発生します。スケジュールの遅延は費用増加にもつながるため、全体工程を把握し、購入から入居までのスケジュールをあらかじめ綿密に立てることが重要です。

その他、マンション購入費とリノベーション費用を一緒にローンで組む場合は、できるだけ早めに進めるよう心がけましょう。時間がかかってしまうと、その間に別の方の購入が決まってしまうおそれがあります。
設計や仕様決めに多くの労力がかかる
理想の住まいを実現するためには、設計・施工会社との打ち合わせを重ね、間取りや設備、内装などを細かく決めることが必要です。キッチンや浴室の仕様、床材や壁紙の素材、照明やスイッチの配置など、選択肢が多いため、決定までには相応の時間がかかります。
図面修正のやり取りやショールームでの確認など、平日の夜間や休日を使って対応するケースも多く、共働きや子育て世帯にとっては負担が大きくなる場合もあります。
スムーズに進めるためには、家族間で優先順位を明確にし、信頼できる担当者と効率的に打ち合わせを行う工夫が必要です。
どちらにも共通する注意点
リノベーション済み物件でも、中古マンションを購入してリノベーションを行う場合でも、マンションの管理体制を見極めることが重要です。特に「管理会社が入っているか」「自主管理か」といった管理形態は、住み心地や資産価値に大きく影響します。
自主管理は、住民が清掃や点検、修繕計画、会計などを自ら行う形態で、管理費を抑えられますが、専門知識や人手が不足しやすく、管理が行き届かないケースも多いです。一方で、管理会社が入っているマンションは、点検や清掃、修繕計画が体系的に実施され、建物状態が安定しやすい傾向があります。
どの購入形態であっても、管理会社の有無や運営体制を確認し、長期的に安心して暮らせるかをチェックすることをおすすめします。

マンション購入の際には、必ず確認しましょう。
中古マンションそれぞれのリノベーションの注意点をふまえて
リノベーション済み物件を購入する方法と、購入後に自分でリノベーションする方法のどちらを選ぶかは、予算や希望する間取り・デザイン、入居までのスケジュール、将来的な維持管理の手間などを総合的に考慮する必要があります。ここまでの注意点をふまえて、自分たちのライフスタイルや優先順位に合わせた選択をすることが大切です。
ここでは、それぞれの購入方法がおすすめなケースや、購入後に再リノベーションを検討する選択肢について解説します。
リノベーション済みマンションを購入するのがおすすめなケース
リノベーション済みマンションは、すでに工事が完了しているため、購入から入居までの期間が短く、すぐに新生活を始められるのが大きなメリットです。購入時点で室内の状態を確認でき、設備やデザインの完成イメージを把握しやすい点も安心材料となるでしょう。
「できるだけ早く入居したい」「リノベーションの打ち合わせや工事期間の手間を省きたい」「購入費用を明確に把握しておきたい」といった方に向いています。内装や設備を自由に選べないため、デザインよりも利便性やスピードを重視する方におすすめです。
ただし、築年数や共用部の管理状態など、見えない部分の確認は忘れずに行うことが大切です。
中古マンションを購入してリノベーションをするのがおすすめなケース
中古マンションを購入してリノベーションを行う方法は、間取りやデザイン、設備を自分好みにカスタマイズできる点が最大の魅力です。
「理想の間取りを実現したい」「素材やデザインにこだわりたい」「自分らしい空間をゼロからつくりたい」という方に向いています。
一方で、購入手続きと工事を別々に進めるため、入居までに半年ほどかかる場合があり、打ち合わせや費用管理の手間が増えるという点には注意が必要です。
予算を抑えつつも、ライフスタイルに合った空間づくりを重視する方、あるいは好立地の中古物件を活かしたい方に適しているでしょう。工事内容や構造上の制約を事前に確認し、信頼できる施工会社に相談しながら進めることがポイントです。
購入後の再リノベーションという選択肢
リノベーション済みマンションを購入した場合でも、暮らしていくうちに「収納を増やしたい」「水回りを最新設備に変えたい」と感じることがあります。
そのような場合は、部分的な再リノベーションによって、より快適で自分らしい住まいにアップデートすることも可能です。「中古マンション+リノベーション」を選んだ場合でも、数年後のライフステージに合わせて再リノベーションを行うことで、長く快適に暮らせます。
鈴与ホームパルでは、リノベーション済み物件の追加カスタマイズから中古マンションの再リノベーションまで柔軟に対応し、理想の住まいづくりをサポートしています。
まとめ
中古マンションのリノベーションで満足できる住まいを実現するには、事前の注意点把握と慎重な検討が欠かせません。リノベーション済み物件を購入する方法と、中古マンションを購入して自分でリノベーションする方法のそれぞれにメリットと注意点があり、自分たちの優先順位に合わせた選択をすることが重要です。
どちらの選択肢を選ぶ場合でも、建物の管理体制や共用部、見えないインフラ部分の確認を徹底することで、長期的に安心して快適に暮らせる住まいの実現につながります。
鈴与ホームパルでは、中古マンションのリノベーションに関する実績や知識が豊富なアドバイザーが、お客様のご要望に応じて丁寧に対応いたします。中古マンションのリノベーションを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
