COLUMNリフォーム豆知識
全面改修・ リノベーション 2025.12.26

中古マンションのリノベーションが人気!費用相場や注意点など網羅的に解説

中古マンションのリノベーションが人気!費用相場や注意点など網羅的に解説

中古マンションのリノベーションは、購入費用を抑えつつ理想の住まいを叶えられることから、近年注目を集めています。新築マンションと比較した場合、価格面での魅力だけでなく、好立地の選択肢が広がる点や、自由な間取り・デザインのカスタマイズが可能な点も大きな特徴です。

本記事では、中古マンションをリノベーションする際の費用相場や実際の施工事例、リノベーションの進め方と注意点をわかりやすく解説します。

中古マンションを買ってリノベーションする人が増えている理由

2024年12月に経済産業省が公表したデータによると、2023年の首都圏における新築分譲マンションの販売戸数は26,518戸であったのに対し、 中古マンションの成約件数は35,987件と大きく上回りました。

新築よりも中古マンションの取引が増えている理由として、「価格」と「立地」の優位性が挙げられます。中古マンションは新築に比べて購入価格が抑えられる上に、好立地の物件が豊富で選択肢が多いことから、希望する立地で住まいを手に入れやすい傾向があります。

また、近年はリノベーション技術が進歩し、築年数が経過したマンションでも、性能面・デザイン面ともに新築同様の快適さを実現できるようになりました。自分好みのデザインや間取りに自由にカスタマイズできる点も、住まいにこだわりたい人から支持される理由です。

こうした背景から、「中古マンションを購入し、自分らしくリノベーションする」という住まいの選択肢が、若年層からファミリー層まで幅広く定着しつつあります。

出典:高騰するマンション市場|その他の研究・分析レポート|経済産業省

中古マンションの購入費とリノベーション費用

中古マンションを購入してリノベーションする場合、物件価格と工事費用の両方を把握しておくことが重要です。費用の目安を知っておくことで、無理のない資金計画が立てやすくなり、希望するデザインや設備を実現しながら予算内で理想の住まいづくりが進められます。

ここでは、中古マンションの購入相場とリノベーションにかかる費用の目安を、データに基づきご紹介します。

中古マンションの相場

経済産業省のデータによると、2024年1月から10月における首都圏の中古マンション平均価格は、4,871万円 となっています。

エリア別の平均価格は、以下の通りです。

エリア平均価格
東京23区6,611万円
都下3,771万円
埼玉県2,977万円
千葉県2,914万円
神奈川県3,899万円

一方、同時期の首都圏における新築分譲マンションの平均価格は7,967万円で、中古マンションとの価格差は約3,000万円に達します。立地条件を重視しながら購入費用を抑えたい人にとって、中古マンションが選ばれる大きな理由といえます。

リノベーションの相場

60~80平米ほどの中古マンションをフルリノベーションする場合、費用の相場は約1,000万~2,000万円程度です。間取り変更を伴う大規模なリノベーションでは高額になる傾向がありますが、水回りや内装の部分的なリフォームにとどめた場合、500万円未満で収まることもあります。

費用は物件の広さや築年数、設備のグレード、デザインへのこだわりなどによって大きく変動するため、複数社から詳細な見積もりを取ることが重要です。

新築マンションを購入する場合と比べた場合

経済産業省のデータによると、2024年1月から10月の首都圏における中古マンションの平均価格は4,871万円で、新築分譲マンションの平均価格は7,967万円です。

中古マンションのリノベーション費用相場が約1,000万~2,000万円のため、購入費とリノベーション費用を合計すると約5,871万~6,871万円となります。

つまり、新築マンションの平均価格(7,967万円)と比べると、1,000万円以上の費用を削減できます。この価格差を活かして、より良い立地条件の物件を選択したり、設備やデザインにこだわったリノベーションを実現したりと、理想の住まいを実現しやすくなる点が大きな魅力です。

中古マンションのリノベーション事例

中古マンションのリノベーションには、間取りを大きく変更する全面改装から、設備交換や壁紙の貼り替えといった部分的なリフォームまで、さまざまな方法があります。どの程度手を加えるかによって、仕上がりだけでなく費用や工期も大きく変わるため、実際の事例を知ることが大切です。

ここでは、実際の施工事例をご紹介します。

ホワイトを基調とした内装にリノベーション

こちらは、比較的きれいな状態の中古マンションを購入後、リビングやキッチン、トイレを中心に、クロスや床の張替えを行った内装リフォームした事例です。

ホワイトを基調とした内装に統一することで、空間全体が明るく清潔感のある印象に。インテリアを自分たちの好みに合わせ、新生活に心地よい住まいへと整えました。

建物タイプマンション
リフォーム内容内装(リビング、キッチン、トイレなど)

設備や内装など全面的なリノベーション

こちらは、購入した中古マンションのキッチン・浴室・洗面・内装を、全面的にリフォームした事例です。

キッチンや水回り設備には上位グレードを採用し、フローリングやキッチンの色味を統一することで、高級感のある空間に仕上がっています。和室の畳も新調し、新生活にふさわしい快適な住まいへと生まれ変わりました。

建物タイプマンション
リフォーム内容キッチン
浴室
洗面
内装

マンション用システムバスへのリフォーム

築年数の経過した分譲マンションで、古くなった浴室を最新のマンション用システムバスに交換した事例です。

排水口や床のお手入れがしやすく、日々の家事負担の軽減につながっています。洗面所の壁紙も張り替え、短期間の工事でありながら、空間全体が明るくスタイリッシュにリフレッシュされています。

快適さとデザイン性の両方が向上したリフォーム事例といえるでしょう。

建物タイプマンション
リフォーム内容浴室
洗面所(壁紙)

リビングや玄関、トイレの壁紙リフォーム

新居の入居に合わせて、リビング・玄関・トイレの壁にエコカラットを施工した事例です。

エコカラットの調湿機能と質感により、白を基調とした空間がよりシックで上質な雰囲気に生まれ変わっています。トイレは「TOTOレストパル」へ入れ替え、収納性とデザイン性が向上し、使い心地の良い空間が完成しました。

建物タイプマンション
リフォーム内容リビング
玄関
トイレ

中古マンションを買ってリノベーションする際の注意点

理想のリノベーションを実現するためには、事前に確認すべきポイントも多くあります。ここでは、中古マンションの購入・工事実施の際に押さえておきたい注意点を解説します。

マンションリノベーションの制限を理解しておく

中古マンションのリノベーションでは、建物の構造や管理規約によって工事をできる範囲が決まっています。基本的に自由に変更できるのは「専有部分」のみで、柱・梁・外壁・玄関、窓サッシなどの「共用部分」は勝手に手を加えることはできません。

また、管理規約によってはフローリングの使用が禁止され、防音性の高いカーペットなどの床材に限定されているケースもあります。さらに、工事可能な時間帯の指定や、水回りの移動に関する細かな制限が設けられていることも少なくありません。

こうしたルールを把握せずに工事を進めると、管理組合とのトラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。リノベーション内容が規約に沿っているか、事前に管理組合やリフォーム会社へ確認し、許可の範囲内で計画を立てることが大切です。

鈴与ホームパル

制限の中にも、時間的な制限・間取りの制限・資材の制限など、さまざまあります。

築年数や耐震強度をチェックする

中古マンション選びでは、築年数と耐震強度の確認が欠かせません。これらは、建物の安全性だけでなく、資産価値にも直結します。

特に注意すべきは、「新耐震基準」を満たしているかどうかという点です。新耐震基準とは、震度6~7程度の地震でも建物が倒壊しないことを目指して、1981年(昭和56年)6月1日に導入された建築基準です。

1981年6月以前の「旧耐震基準」の物件は、将来的にマンション全体で耐震補強工事が必要になる可能性が高く、住民負担が発生する可能性があるため、慎重な検討が求められます。

また、築年数が20~25年を超えると、不動産価格の下落幅が緩やかになり、資産価値が安定する傾向があります。そのため、リノベーションの費用対効果を考える上では、築20年以降の物件を選択肢に入れることもおすすめです。

鈴与ホームパル

マンション全体での耐震補強工事は住人負担となるため、費用がかかります。

管理状況や修繕履歴を確認する

中古マンションは、どれだけ室内をリノベーションしても、共用部分や管理体制は変えられません。そのため、購入前に管理状況や修繕履歴を確認することが重要です。

内覧の際には、エントランス・ゴミ集積所・廊下といった共用部分が清潔に保たれているか、日々の清掃が行き届いているかをチェックしましょう。また、防犯カメラやオートロックなど、セキュリティ面の確認も欠かせません。

加えて、過去の大規模修繕の実施状況や、修繕積立金が十分に積み立てられているかも重要な判断材料です。これらの情報は、不動産仲介業者を通じて管理会社から発行される「重要事項調査報告書」で確認できます。

適切なタイミングで修繕が行われていれば、建物の老朽化が抑えられ、安心して長く住むことができます。もしも積立金が不足している場合は、将来的に一時金や管理費・修繕積立金の値上げが発生する可能性があるため、事前に財政状況を把握しておくことが大切です。

構造と間取り変更の可否をチェックする

理想の間取りを実現するためには、マンションの構造が間取り変更に与える影響を理解しておく必要があります。特に大規模な間取り変更を考えている方は、その物件の構造が「ラーメン構造」であるか「壁式構造」であるかをチェックしましょう。

ラーメン構造は柱と梁で建物を支えているため、比較的壁の撤去が容易で間取り変更の自由度が高い傾向にあります。一方、壁式構造は壁自体が建物を支える役割を担っているため、撤去できない壁が多く、間取り変更に制限が生じやすいです。

希望の間取り変更が構造的に可能かどうかは、図面や管理規約だけでは判断が難しいため、物件探しの段階からリノベーションの専門家や建築士に相談し、判断してもらうことをおすすめします。

中古マンションの購入とリノベーションを行う流れ

中古マンションの購入とリノベーションは、物件探しから工事完了まで複数のステップを踏んで進める必要があります。流れを理解していないと、スケジュールの遅れや予算オーバーにつながることもあるため、全体像を把握して計画的に進めることが大切です。

ここでは、中古マンションの購入検討から引き渡しまでの一般的なプロセスを解説します。

1.物件を探す

まずは、リノベーションを前提に、暮らし方や働き方に合った物件を探します。この段階では、物件の条件とリノベーション要望を整理し、信頼できるリフォーム・リノベーション会社や不動産会社に相談することが重要です。

物件を絞り込む際には、リノベーションに適した構造かどうか、管理規約で希望の工事が制限されていないかといったポイントを確認しながら進めましょう。また、リノベーション費用と物件購入費を合わせた全体の予算を明確にし、予算内で収まる物件価格帯を見定めることが大切です。

理想の物件に出会うまでには時間がかかることも多いため、焦らず慎重に検討する姿勢が求められます。

2.リノベーションの見積もり依頼をする

購入したい物件候補が見つかったら、どの程度のリフォーム・リノベーションが必要かを検討します。

必要に応じて、不動産会社で対応可能か確認するか、自身でリフォーム会社に概算の見積もりを依頼しましょう。複数のリノベーション会社に相談し、相見積もりを取ることで、費用や提案内容を比較検討しやすくなります。

リノベーション費用は住宅ローンを組む際の融資額に大きく影響するため、この工程は正確な資金計画を立てる上でも大切なステップです。見積もりを依頼する際は、希望する間取り変更の範囲や内装のイメージ、導入したい設備などの要望を具体的に伝えるようにしましょう。

この概算費用を把握することで、次のステップである住宅ローンの仮審査もスムーズに進められます。

3.物件の購入・住宅ローンの仮審査を行う

リノベーションの概算費用が固まったら、物件の購入申し込みと並行して住宅ローンの仮審査を行います。中古マンションのリノベーションでは、物件購入費用とリノベーション費用をまとめて借り入れる「一体型ローン」の利用が一般的です。

仮審査では、物件の担保価値や申込者の返済能力が確認されます。リノベーション費用の概算を把握できていると、金融機関へ提出する融資希望額の根拠が明確になるため、審査をスムーズに進められます。

鈴与ホームパル

リノベーションの見積もりやローンの審査に時間がかかると、物件が売れてしまう可能性があるため、できるだけ早めに進めましょう。

4.リノベーションのプランを決める

住宅ローンの仮審査を通過し、物件購入の目処が立ったら、リノベーションを依頼する会社との具体的なプランニングへ進みます。

物件の現地調査を行い、専門家の視点で構造的な制約や配管の状態などを確認してもらい、実現可能なリノベーションの範囲を確定させます。その上で、理想とする間取りや内装デザイン、設備仕様などの要望を細かく伝え、詳細な設計図面と最終見積もりを作成してもらいましょう。

5.売買契約や工事請負契約、住宅ローンの本審査を行う

物件の売買契約と、リフォーム・リノベーション会社との工事請負契約を結びます。その後、金融機関へ必要書類一式を提出し、住宅ローンの本審査を受けます。

本審査の承認後に行われるのが、金融機関との金銭消費貸借契約(ローン契約)の締結と、融資の実行です。物件の引き渡しと残代金の決済が行われ、同時に物件が自身の所有となり、リノベーション工事を開始できるようになります。

6.リノベーション工事を開始する

物件の引き渡しと決済が完了し、無事に物件が自身の所有となったら、リノベーション工事の開始です。工事に着手する前に、マンションの管理組合にリノベーション工事の申請を行い、承認を得る必要があります。

工事の騒音や振動は近隣住民とのトラブルにつながりやすいため、工事期間中は、リフォーム・リノベーション会社を通じて、近隣住民への挨拶と工事内容・期間の説明を丁寧に行うことが大切です。

工事が完了した後は、施主検査によって仕上がりを確認し、問題がなければ最終的な引き渡しとなります。

中古マンションの購入とリノベーションに関してよくある質問

中古マンションを購入してリノベーションする際には、スケジュールや費用、工事内容など、さまざまな疑問が生じるでしょう。

ここでは、実際に住み始めるまでの期間や工事のタイミング、よくある後悔ポイントなど、中古マンションのリノベーションに関してよくある質問にお答えします。

実際に住めるようになるまでの時間はどれくらい?

中古マンションをリノベーションして住む場合、工事自体は1~2ヶ月程度で完了しますが、物件探しからのトータル時間を考えると約4~6ヶ月が目安です。

一般的に、物件探しから購入、住宅ローンの手続き完了までに約2~3ヶ月、リノベーションのプランニング・設計に約1~2ヶ月、工事期間に約1~2ヶ月程度かかります。

最短でも約4ヶ月、大規模なリノベーションや複雑な手続きがある場合は半年以上かかることを想定しておくと良いでしょう。

住み始めてからリノベーションしても大丈夫?

住み始めてからリノベーションすることは可能ですが、大規模な工事は基本的に入居前に行うことが推奨されます。

例えば、間取り変更やすべての設備を一新するようなフルリノベーションの場合は、工事期間中に一時的に仮住まいへ引っ越す必要が生じます。一方で、壁紙の張り替えや洗面台の交換といった部分的な工事であれば、住みながらでも対応可能です。

中古マンションのリノベーションで後悔する理由は何?

中古マンションのリノベーションで後悔しやすい要因は、大きく「規約や構造による制約」「予算超過」「優先順位のミス」の3つです。

まず、管理規約や構造を十分に確認せずに進めると、希望していた間取り変更や設備導入ができず、理想と現実のギャップが生まれます。次に、工事中に配管や下地の劣化が見つかって追加費用が発生し、予算が膨らむケースが挙げられます。

さらに見落としがちなのが、暮らし方・働き方・立地のバランス設計です。「おしゃれに暮らしたい」と内装を優先すると費用は上がりがちになります。一方で「通勤駅に近い立地」を最優先すると物件条件が厳しくなり、思い描いたリフォームが実現しにくいこともあります。

不動産会社のアドバイスを参考にしつつ、最終的には自分たちの優先順位を明確にして意思決定することで、後悔のないリノベーションにつながるでしょう。

鈴与ホームパル

リノベーションは、これからの暮らしを思い描く楽しい計画です。せっかくの機会を心から楽しむためにも、事前に注意しておきたいポイントを意識して進めていきましょう。

中古マンションのリノベーションは、購入費用を抑えつつ理想の住まいを実現できる選択肢として、多くの世代から支持されています。

新築マンションと比べて1,000万円以上の費用削減が期待でき、好立地の物件選択や自由度の高い間取り・デザインのカスタマイズが可能です。ただし、管理規約や構造的な制約、築年数や耐震強度など、事前に確認すべきポイントが多くあります。

また、物件探しから工事完了まで約4~6ヶ月の期間が必要となるため、計画的な進行が重要です。

鈴与ホームパルでは、経験豊富なアドバイザーが丁寧に対応し、お客様に最適なプランをご提案します。中古マンションのリノベーションを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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